151文字の文学

日々の事々を151文字で書くブログです。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

秋の月

最近はすっかり日の暮れるのが早くなってきた。 8月はまだ6時過ぎでも明るい気もしたけれども、9月も終わる今、帰宅の時はもうライトをつけるのが当たり前の暗さになった。 肌寒さも増してきた。日中の数時間以外、もう秋になった。 本日は中秋の名月で、…

町の音

ぼくの町では5時になると防災無線から『遠き山に日は落ちて』が流れる。 或いは新世界交響楽の第二楽章と言った方がわかるかもしれない。夕刻や帰りを告げる一種の鐘の音だ。 夏でも冬でも、この曲の流れている瞬間は風景全体にどこか懐かしさを感じてしま…

虫の声を聞きながら

虫の声を聞きながら文章を書く。 『となりのトトロ』に出てくるお父さんをおもい出す。 コロコロとしたその鳴き声に自然と気持ちが落ち着いてゆき、文章も淡々と整ってゆく気がする。 ・・・・庭の千草も 虫の音も・・・・ ふとそんな歌も口をついて出てくる…

時計

台所用に時計を掛けた。百均で買った150円の時計。 新しく秒針音が生活に加わった。 西日がカーテンを透かして、壁際のフックに掛かっている調理器具に影をつける。白い壁が薄く色づく。 誰もいない静物に満ちた空間の中で、秒針だけが唯一の生物のように…

夏の抜け殻

セミの声も聞こえなくなり、秋の虫の音に変わる頃、セミの死骸が道路に転がっているのを見つけた。 それはまるで夏の抜け殻のようにもおもえた。 律儀に仰向けで息絶えているお前にも、どこかに文学性を見出しては、うつくしさのひとつでも持たせてやりたい…

絵柄と内容

イラストや漫画を読むとき、絵柄と内容が合わないことはよくあることだ。 この絵でこの内容なら良かったのになあ、と自分の中で補正してゆくしかない。描いているひとには申し訳ないけれども、残念というかがっかりというか。 これは文体と思想とにも言える…

食後

昼食後、窓辺に椅子を運んで読書をした。 コーヒーを注いだカップには上空に茂っている枝葉が映り込んでいた。コーヒーを口にしてテーブルに置くたび、風景は波を打った。 開け放った窓からは風が途切れ途切れ吹いてきていた。部屋のものが少しばかり揺れた。…

朝雨

今朝は小雨が降っていて、風が吹くたびにその雨が波を打っていた。 それはカーテンが揺れているような、或いは透明なオーロラでも現れたかのような、おもわず見惚れてしまう光景だった。それが早朝であったのも、ぼくにとってはどこか文学的で、雨であるにも…

オス猫

つい最近、ぼくはオスの猫にも乳首があることを初めて知った。 人間の男にだってあるのだから、かんがえてみれば当たり前だった。散々猫と接しておきながら、なぜ今まで気づかなかったのか。 猫は秘密の塊だ。ほかにもまだなにか隠しているにちがいない。 一…